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 明治安田J1第30節・ホーム浦和戦、白崎凌兵は見事なパフォーマンスを披露した。得点やアシストなど目立ったプレーこそなかったが、チームの勝利に大きく貢献した。

 攻撃面では味方がボールを持ったとき、絶え間なくポジションの修正を繰り返し、優位さを取ることで、相手の守備陣形を崩していた。そして、選手間のスペースでボールを引き出すと、卓越した足元の技術と素早い状況判断で、狭いスペースでも流れるようにプレーを展開していた。白崎が叩くボールのリズムが、そのままテンポの良い攻撃につながり、チャンスが生み出される。ゴールに直接関わらずとも、起点になっているプレーも多く、貢献度は極めて高かった。

 また、守備面での貢献も計り知れない。高い位置からのプレスでは、ボール保持者の状況に合わせて正しいスタートポジションを取り、必ず中央へのパスコースを閉じてから、サイドの選手へと寄せる。押し込まれた状況では、自陣ペナルティエリアまで戻り大外の選手に必ず対応し、速攻を受ける場面では、自らが守るべきエリアへ必ず全速力で戻った。どれも地味で目立たない動きかもしれないが、チームの勝利のためには欠かせないプレーだ。

 白崎はどんな試合でも、泥臭い仕事を最上級のクオリティでやってのける。浦和戦でもチーム最多となる総走行距離10.873kmを記録しただけでなく、チーム最多タイとなる18回のスプリントを繰り返し、勝利のために献身を示してみせた。総走行距離やスプリント数といった数値は、「量」だけだと何の意味ももたないが、極上の「質」を伴えば、非常に大きな価値をもつ。攻守両面でハードワーク出来る白崎は、リーグタイトル奪還の鍵を握る存在といえるだろう。

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 そんな頼りになる男は、シーズン終盤戦に突入し、着々とコンディションを上げている。天皇杯 Honda FC戦から中8日と久々に余裕をもって準備を行えた浦和戦の試合後、「ちょっと休めたんで。連戦よりも身体が元気でしたね」と話している。そして、「マチから良い位置でボールをもらえる場面があったし、斜めで受けられるシーンもあったので良かったと思います」と、これまでにはない手応えを語っていた。チームとしても個人としても、調子は上向いているようだ。

 また、怪我人が続々と復帰していることは、白崎にとってもポジティブな要素となる。「ずっと一緒にやってきたので、戻ってくれば良くなるって感覚が確信としてありました。久しぶりにピリっとした紅白戦になったというか、今週は練習から良い雰囲気が勝つ雰囲気が出てましたーー。(特にボランチの主力選手が復帰したことで)やりやすさはありますよね。自分のやるべきこと、自分の仕事がはっきりしました。自分たちがプレッシャーをかければ、ボランチ2枚のところで潰しきってくれるし、レオがボールを持てばパスが出てくるので、迷わず走れたりしますし、怪我人が帰ってきたことは今後のチームの勢いになると思う」と話していた。

 コンディションは万全、周囲のサポート体制も整った。あとは、これまで通りのチームへの献身をみせ、己の力を最大限発揮するだけだ。左サイドは背番号41に託す。今日も白崎凌兵はアントラーズを勝利へと導くため、全身全霊をかけて戦う。

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